さらに先を急ぐ。 では、人間をして〈作為〉たらしめているのは何なのでしょうか。老子はそれを人間の〈慾〉にあると考えました。 欲望さえ抑えるならば、人々をして本来の自然に復帰せしめ、純撲な社会を形作らしめることが可能であると考えた。したがって老子の学においては、無欲の論が主要な位置を占める。 小島祐馬『中国思想史』、p.123 「禍は足るを知らざるより大なるはなく、咎(とが)は得んことを欲するより大なるはなし」 「足るを知れば辱(はずかし)められず、止まるを知れば殆(あやう)からず」 「足るを知る者は富む」 ...